呑龍上人和讃

１　武蔵の国に　生うけし
　　稀有けうの高僧　名は呑龍
　　弥陀の本願　意いに留とめて
　　称名念仏　一すじに
　　説き弘めたる　尊とさよ

２　干魃かんばつ飢饉ききんに　泣く邨むらの
　　諸人もろびとたちを　励はげましつ
　　高声こうしょう念仏ねんぶつ　百万遍
　　天まで届けと　唱となうれば
　　龍神めぐみの　雨降らす

３　貧しき者も　病む人も
　　心康やすらぎ　徳したう
　　されど上人　巡錫じゅんしゃくの
　　杖をたよりに　旅ごろも
　　念仏ねんぶつ行脚あんぎゃ　今いづこ

４　やがて帰かえれば　天下人てんかびと
　　家康公の　請こいを承うけ
　　上野こうずけ新田にったに　由緒ゆかりある
　　大光院を　建てたれば
　　檀林となり　僧集つどう

５　大光院の　門前に
　　時折り哀れ　捨て児あり
　　上人憐あわれみ　抱きあげて
　　慈父のごとくに　はぐくめば
　　子育て吞龍と　崇あがめらる

６　慈恩を受けし　子らはみな
　　上人仰ぎて　共どもに
　　専修せんじゅ念仏ねんぶつ　一行いちぎょうに
　　励はげみはげみて　名をなせり
　　南無阿弥陀仏　阿弥陀仏

作詞：齊藤　耕善
作曲：松濤　基