地蔵和讃

１　これはこの世の　ことならず　死出しでの山路やまじの　裾野すそのなる
２　賽さいの河原かわらの　ものがたり　聞くにつけても　憐あわれなり
３　二つや三つや　四つ五つ　十にも足らぬ　みどり児が
４　賽さいの河原かわらに　集まりて　父上こいし　母こいし
５　河原の石を　とり集め　これにて回向えこうの　塔をつむ
６　一重じゅうくんでは　父のため　二重じゅうくんでは　母のため
７　日も入りあいの　その頃は　地獄の鬼が　現われて
８　くろがね棒を　とりのべて　積みたる塔を　おしくずす
９　その時能化のうけの　地蔵じぞう尊そん　われを冥途めいどの　父母ちちははと
１０　思うてあけくれ　頼めよと　幼き者を　み衣ころもの
１１　裳裾もすそのうちに　かき入れて　憐あわれみ給うぞ　ありがたき
１２　未だ歩まぬ　みどり児を　いだきかかえて　なでさすり
１３　憐あわれみ給うぞ　ありがたき　南無阿弥陀仏　阿弥陀仏
１４　南無阿弥陀仏　阿弥陀仏　南無阿弥陀仏　阿弥陀仏

古歌
作曲：三宅　勝